このページではQuickMesh ver.2.0.2で追加された新機能の解説及び図解を行います。

視点の回転中心の設定

回転中心をピックアップする

従来の視点の回転中心は画面中央に表示されているモデル表面になるように自動設定されていました。

ver.2.0.2ではユーザーが任意で回転中心の位置を画面内のクリックによって指定できるようになりました。

なおチュートリアル内で使用しているサンプルファイルは こちら のリンクからダウンロードできます

操作方法
  1. [右クリックメニュー] → [Rotation Center] → [Pick Up]

  2. モデル表面の回転中心にしたい位置をクリック

例 1. 視点の回転中心をピックアップで固定する
pickup 0.png

変化がわかりやすいようにViewメニューのRotation CenterをONにして視点回転中心を表示します。

pickup 1.png

モデルビュー内で右クリックをしてショートカットメニューを呼び出し、Rotation CenterのPick Upを選択します。

pickup 2.png

マウスカーソルが変化するので回転中心にしたいモデル表面をクリックします。

pickup 3.png

新たに設定された回転中心がしばらくの間少し大きめに表示されます。

pickup 4.png

視点を移動しても回転中心は指定されたモデル表面に固定されています。

pickup 5.png

常に画面中心のモデル表面を回転中心とする従来の設定に戻すには、同様に右クリックメニューからRotation Center → Autoを選択します。

回転中心を座標指定する

視点の回転中心をPick Upで選択する場合はモデルの表面のみを選択できますが、更に空間内の任意の位置で固定したい場合はSttings メニュー内のRotation Centerを選択して表示されるGUIを通して設定します。

操作方法
  1. [メニューバー]→[Settings]→[Rotation Center]

  2. Coordinateを選択する

  3. 座標入力欄に座標を入力する

例 2. 視点の回転中心を任意の座標で固定する
pickup 6.png

これから図のようなモデルの回転中心を二本の円柱パイプの中心軸の交点である座標(0,0,0)に指定します。

変化がわかりやすいようにViewメニューのRotation CenterをONにして視点回転中心を表示しています。

pickup 7.png

メニューバーのSettingsからRotation Centerを選択しクリックして設定ウィンドウを開きます。

pickup 8.png

従来の画面中心にあるモデル表面を選択するAutoモードからCoordinateモードに切り替えることで、回転中心がテキストボックス内に指定された座標に固定されます。

この例では原点に固定するため、X, Y, Zそれぞれに0を入力しています。

Closeボタンで設定ウィンドウを閉じます。

pickup 9.png

原点中心で回転するようになりました。

元に戻す場合は再び設定ウィンドウを開きAutoに切り替えるか、右クリックのショートカットメニューからRotation Center → Autoを選択します。

その他 回転中心の設定事項
pickup 10.png

設定ウィンドウにおけるCoordinateモード時にPick Upボタンが有効になります。

これをクリックすると右クリックショートカットからRotation CenterのPick Upを選択した時と同じ状態になり、モデルをクリックすることで任意のモデル表面上に視点の回転中心が選択され、座標入力欄にはその座標が自動的に表示されます。

pickup 11.png

設定ウィンドウのFace BaseからNode Baseに変更するとAutoやPick Upで選択されるモデル表面が、画面中心やクリックした点に近い表面節点が選ばれるようになります。

層状メッシュへの境界面の投影

投影元をファイルから指定して投影

Layer Projectionはプリズムセルや六面体セルで層状に構成されたボリュームメッシュに対して、異なるメッシュ分割を施したサーフェスメッシュを底面として指定することで、各層断面にその底面を投影して、断面や対面のメッシュ分割を差し替えることができます。

なおチュートリアル内で使用しているサンプルファイルは こちら のリンクからダウンロードできます

操作方法
  1. 投影先の層状ボリュームメッシュを読み込む

  2. [メニューバー] → [Edit] → [Layer Projection]

  3. 投影元の底面サーフェスメッシュのパスを入力する

  4. 投影元と対応する投影先の境界面ゾーンを選択する

  5. Applyボタンをクリックする

例 3. 投影元ファイルを指定して投影する
layerprojection 0.png

サンプルファイル"external-bullet-volume-prism-layer.qmf"は投影先となるボリュームメッシュです。弾丸のような形状の物体周辺の空間を積層プリズムセルでメッシュ化しています。

layerprojection 1.png

サンプルファイル"external-bullet-inside-surface-quad.off"は投影元となるサーフェスメッシュです。投影先の境界面ゾーン"inside"にあたる物体面は四角形でメッシュ分割されています。

これからこの四角形面の節点をボリュームメッシュの各層断面に投影していき、ボリュームメッシュの積層底面および断面を四角形で置き換え、六面体セルの積層メッシュに変更します。

layerprojection 2.png

投影先ボリュームメッシュである"external-bullet-volume-prism-layer.qmf"が読み込まれて画面に表示された状態で、EditメニューからLayer Projectionを選択してツールウィンドウを開きます。

layerprojection 3.png

Source SurfaceでUse Fileを選択し、テキストボックスに投影元のサーフェスメッシュである"external-bullet-inside-surface-quad.off"へのパスを入力します。

layerprojection 4.png

投影元のサーフェスメッシュに対応する投影先の境界面ゾーンを選択します。 ここでは"inflow"を選択します。

Target Surface ZoneのAutoSelectボタンをクリックすると投影元サーフェスに近い投影先境界面ゾーンが自動で選択されます。

またAutoSelectがうまくいかないときはSelectボタンを押すとゾーン選択ダイアログが開き、手動で対応ゾーンが選択できます。

Applyボタンをクリックします。

layerprojection 5.png

"inflow"が"external-bullet-inside-surface-quad.off"と同じ四角形面である六面体積層メッシュに変換されました。

投影元を履歴データから指定して投影

先ほどのチュートリアルでは投影元となるサーフェスメッシュをファイルから読み込むことで層投影に必要なデータを揃えていました。

Layer Projectionはその他にQuickMeshのメッシュ履歴登録による一時保持機能を使用してファイルを介することなく投影元データにすることもできます。

なおチュートリアル内で使用しているサンプルファイルは先ほどのチュートリアルと同じものを使用しており こちら のリンクからダウンロードできます

操作方法
  1. 投影元の底面サーフェスとするメッシュデータを履歴に登録し一時保持する

  2. 投影先の層状ボリュームメッシュを読み込む

  3. [メニューバー] → [Edit] → [Layer Projection]

  4. 履歴から投影元の底面サーフェスを選択する

  5. 投影元と対応する投影先の境界面ゾーンを選択する

  6. Applyボタンをクリックする

例 4. 投影元ファイルを一時保持した履歴データから指定して投影する
layerprojection 6.png

投影元データがQuickMeshで加工したものである場合について考えます。

図のサーフェスメッシュはサンプルファイル"external-bullet-inside-surface-quad.off"を読み込んだデータをEditメニューのSubdivideで機能を用いて細分化加工したものです。

これをファイルに保存すれば前項のチュートリアルの手順でこれを投影元とした層投影作業をすることが可能ですが、この例では一時履歴に保持させてそこから再び呼び出すことで投影元データとします。

layerprojection 7.png

ToolsメニューのStore Meshを選択しツールウィンドウを開きます。

layerprojection 8.png

どの状態のメッシュを保持したのかわかるように保持名を入力します。ここでは"quad-surf-div-2"としました。

OKボタンを押して保持します。

layerprojection 9.png

投影先のボリュームメッシュ"external-bullet-volume-prism-layer.qmf"を読み込みます。

layerprojection 10.png

EditメニューのLayer Projectionを選択してツールウィンドウを開き、Source SurfaceでUse Stored Dataを選択します。

Storedコンボボックスから先ほど一時保持履歴に登録した"quad-surf-div-2"を選択します。

layerprojection 11.png

ファイル選択時のチュートリアルと同様に投影元サーフェスと対応する投影先境界面を選択しApplyボタンをクリックします。

layerprojection 12.png

細分化された四角形面で差し替えられた六面体積層メッシュに変換されました。

輪郭線などの描画色および太さの調整機能

特徴線をより目立つように表示する

従来の特徴線や境界面ゾーン間の境界線、メッシュ欠損を示すフリーエッジは色も太さも同じ値に固定されていました。

ver.2.0.2ではこれら3つの線とメッシュ辺の線の4種類の線の描画色と太さを変更できる機能が追加されました。

このチュートリアルではこの描画調整機能を用いてモデルの特徴線をより目立つ表示にして描画することを目指します。

なおチュートリアル内で使用しているサンプルファイルは こちら のリンクからダウンロードできます

操作方法
  1. [メニューバー] → [Settings] → [Line Property]

  2. 目的の線種の太さと色を編集

  3. Closeボタンで閉じる

lineproperty 0.png

サンプルファイルを読み込んだらアイコンバーのFeatureをクリックして特徴線の描画をONにします。

黒の太線で特徴線が描画されましたが、これからこの特徴線をより目立つ表示にします。

lineproperty 1.png

メニューバーのSettings → Line Propertyから設定ウィンドウを開きます。

lineproperty 2.png

Feature LineのSizeスピンボックスで線の太さを、Colorボタンから色選択ダイアログを開いて線の描画色を設定します。

ここでは太さを8に、色を赤色に変更しました。

lineproperty 3.png

設定値を変更するごとにモデル側の描画設定が更新され、より特徴線が目立つようになりました。

Closeボタンをクリックして設定ウィンドウを閉じます。

詳細設定可能なInspectionの表示変数

指定した境界面からの距離や深度レベルで色分けする

従来のInspectionのVariableはそれぞれの評価値を固定の基準で決定していました。例えばVariableの一つである"Cell Center to Boundary Distance"はそれぞれのセルについて全ての境界面から最も近い面からの距離を評価値としています。

ver.2.0.2からは一部のVariableにそのVariable特有のコンフィグウィンドウを追加することで、変数の評価方法を操作できるようになりました。

前述の"Cell Center to Boundary Distance"でいえば、ユーザーが境界面ゾーンを限定することで特定の境界面からの距離で色分け表示できるようなっています。

なおチュートリアル内で使用しているサンプルファイルは こちら のリンクからダウンロードできます

操作方法
  1. Inspectionタブに切り替える

  2. Variableをコンフィグ可能なものに変更する

  3. Configボタンをクリックする

  4. コンフィグウィンドウで評価方法の詳細を設定する

例 5. 特定の境界面からの距離で色分けする
variable 0.png

これから薄橙色の境界面ゾーンinflowからの距離で色分けをします。

variable 1.png

メインタブをInspectionに切り替えてVariableのコンボボックスから"Cell Center to Boundary Distance"を選択します。

また結果の変化がわかりやすいようにここではSliceのPositionを-0.01に、Display Sideをマイナスにしてxが-0.01以下のセルを表示しています。

この状態ではまだ詳細設定はされていないため全ての境界面からの距離で色分けされており、パイプ中心が最も遠いセルとして色分けされています。

Variableコンボボックス右下のConfigボタンをクリックしてコンフィグウィンドウを開きます。

variable 2.png

コンフィグウィンドウに現在の距離測定の基準面となっている境界面ゾーンが表示されています。

Selectボタンをクリックしてゾーン選択ダイアログを開きます。

variable 3.png

ここではinflowからの距離で評価するのでゾーン選択ダイアログを図のように設定します。

Applyボタンをクリックします。

variable 4.png

コンフィグウィンドウの選択済みゾーンリストと各セルの色分けが更新されました。

Closeボタンでコンフィグウィンドウを閉じます。

ブロック単位での縮小表示

ブロック単位で縮小表示する

従来のInspectionではセル単位でメッシュを縮小して表示することが可能でした。

ver.2.0.2ではこれに加えて、表示しているモデルがマルチブロック構造格子だった場合に、ブロック単位でメッシュを縮小して表示することが可能になりました。

なおチュートリアル内で使用しているサンプルファイルは こちら のリンクからダウンロードできます

操作方法
  1. マルチブロック構造格子データを読み込む

  2. メインタブをInspectionに切り替える

  3. ShrinkをONにする

  4. ラジオボタンをBlockに切り替える

例 6. セル単位とブロック単位の縮小表示を比較する
blockshrink 0.png

サンプルファイル"5blocks.qmf"は5つのブロックで構成されたマルチブロック構造格子です。

これを読み込み、ブロック境界のNodeを切り離さずブロック境界を境界面として扱わない"Merge"を選択します。

blockshrink 1.png

サンプルファイルが読み込まれて表示されました。

PropertyタブでEntityをCell、ClassをBlockにしてブロックごとに色分けしています。

blockshrink 2.png

メインタブをInspectionに切り替えて、比較しやすいようにSliceをNoneに切り替えます。

blockshrink 3.png

OptionsのShrinkをONにします。

マルチブロック構造格子を表示している場合、下にCellとBlockのラジオボタンが表示され、現状で既存バージョンと同じセル単位での縮小表示が行われていることを示しています。

blockshrink 4.png

ラジオボタンをBlockに切り替えるとブロック単位での縮小表示に切り替わり、Propertyタブで確認したときと同じセルの塊ごとに縮小されています。

ダウンロードリンク

このページのチュートリアルで使用されているサンプルファイルは以下のリンクからダウンロードできます。

視点の回転中心

pipe-hybrid-01.qmf

層状メッシュへの投影(投影元)

external-bullet-inside-surface-quad.off

層状メッシュへの投影(投影先)

external-bullet-volume-psirm-layer.qmf

輪郭線などの調整機能・詳細設定可能なInspectionの表示変数

pipe-hybrid-03.qmf

ブロック単位での縮小表示

5blocks.qmf